【流されゆく日日05】excite

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疾風怒涛完結編/「別れた子」に逢う旅②、の巻。

東京。梅雨空。
いきなり雨が降ってきた。うーむ、12年ぶり「別れた子」に逢うには嫌な感じだ。

ビルの一室。「こんにちは」と少しはにかみながらドアを開けて入ってきた。
おお、部屋の中が突然明るくなったような。
小柄だけど、聡明そうな子。笑顔がいい。

母に切ってもらうという長めの髪。
疑うことをしらない(と思う)、きれいな輝く目。
左の頬と右の首筋には小さなほくろが(怖いくらいの観察眼…)。
アースカラーのベストの下には、折り目のついた真っ白のTシャツが似合っている。
ジーンズと赤と白のシューズに、白のソックス。
最近は学校でバスケに凝っているらしい。

「僕、野球は巨人が好きです。うん、清原とか」
普通は吉伸、仁志、二岡じゃないの? まあ、いいか。
僕も西武ファンをやめて巨人ファンに転向しよう。
「絵も描いてます」
うん、描いた絵を見たい。

12歳の「別れた子」は何事も一生懸命だ。
いい育てられ方をしたよう。学校も楽しそうだし。

帰り際、おみやげを渡したら、
「ありがとう! ありがとう!」
と跳びはねて、とびっきりの笑顔を見せてくれた。
「ありがとう」は僕の方だよ。

ビルを出たら、雨は上がっていた。夜の風が気持ちいい。
さあ、祝杯(なんの?)に繰り出そう。
(注=一部フィクションです)。

【逢えてよかった度=★★★★★】……重ねて、一部フィクションです。
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by suginami458 | 2005-07-08 23:06 | 小説・エンターテインメント