【流されゆく日日05】excite

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2005年 10月 30日 ( 1 )

伊坂幸太郎『魔王』痛快! 編。


ノンストップ! 待ってた! 最新刊『魔王』(講談社)は従来の作風をパワーアップ、積極的に国家・政治にコミットしている。

★ これでもかとばかりに憲法改正・自衛隊問題・ファシズムなど硬派な題材を取り入れ…どうした? 何があった? 伊坂幸太郎34歳,法学部卒。折しも自民党が新憲法草案を発表し、タイムリーな作品(かな)。

【伊坂幸太郎(いさか・こうたろう)】1971年千葉県生まれ、東北大学法学部卒。2000年、『オーデュポンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞でデビュー。03年『重力ピエロ』、04年上期『チルドレン』、下期『グラスホッパー』が連続直木賞にノミネートされる。04年には『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞、短編『死神の精度』で日本推理作家協会短編部門賞。

★ 帯のコピーは「ひたひたと忍び寄る不穏と、青空を見上げる清々しさが共存する、圧倒的エンターテインメント!」。でも、これだけじゃあない。従来の作品には確かに社会風刺もあったが、それほど気にはならなかった。だけど、今作は……

 (本文から)「日本国民は」俺は、ある本に書かれていた文章を思い出した。ファシズムについて述べられた本で、「日本の国民は、規律をまもる教育を充分に受けていたため、大規模な暴動を起こすことはなかった」とあった。まさにそれが頭をよぎる。はじめて読んだ時、俺は、「やはり俺たちは飼い慣らされているのだな」と納得したものだ(後略)。
 
 (本文から)……これがファシズムの恐怖ではないのか。ファシズムとは何か、という問い掛けに明確な答えはない。(中略)強いて言えば、ファシズムとは、「統一していること」という意味、それだ(後略)。

 (本文から)……「反動だよ」マスターは言う。「俺たちはあまりに、自由だとか民主的だとかそういうものを大事にしすぎたんじゃないのか? 統率は必要なのに」(後略)

★ ……と、真っ向から民主主義とは? 国家とは? 憲法九条改正などと格闘。ストーリーの基調低音になっている。文体もいつになく力強いぞ。これまでの村上春樹路線はやめたのか? 
ムードとイメージに流されやすく、飽きやすい大衆(国民性)に警鐘を鳴らし、宮沢賢治の詩を横糸に織り込みながら、「覚悟しているのか。考えろ考えろ考えろ考えろ、そして選択しろ」というのが読者へのメッセージか。

★ この一冊は(人は死ぬけど)ミステリーにあらず。巻末の参考・引用文献を先に見ると、ある程度の方向が分かる。

【オモシロ度=★★★★★】 伊坂にいささかハマったのだ。
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by suginami458 | 2005-10-30 17:52 | 小説・エンターテインメント