【流されゆく日日05】excite

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この文庫!/五木寛之『僕はこうして作家になった』編。


幻冬舎が創立11周年記念事業として、いわゆる文庫内文庫『幻冬舎にんげん文庫』を刊行した。
早い話、五木寛之氏の専用文庫。新刊6冊一挙刊行。

★ 普通、文庫化するには2年ぐらいが必要だけど、そこは角川流の幻冬舎、流儀なんて関係なく、他社の『気の発見』(平凡社)『みみずくの夜メール』(朝日新聞社)を素早く収録(もちろん、手打ちは済んでいるんだろうけど)。

★ で、『僕はこうして作家になった/デビューのころ』。
かなり前に集英社から出された(単行本時のタイトルは『デビューのころ』)が同社も文庫にせず、絶版寸前だったもの。五木氏が文壇デビューするまでの青春時代、様々な職業遍歴を書いたもので、「告白的自伝」とカバーにあるけど、本当か。

★ 自伝とあるけど、本当のことを書いたら大変なことになるのは、だれでも分かる。ま、適当に当たり障りがない程度にして、青春作家を演出しよう…がありあり。内容もアレは書いてないし、コレも書いていない(でも、なぜ集英社が文庫にしなかったんだろう? できない何か事情があったのか、改変期間が必要だったのか)。

★ でも、改めて読むと、名も無き一人の青年が、目に見えない大きな力によって上昇していく過程が読み取れる。ここが五木さんの言う「他力/サムシング・グレート」でしょう。
新刊6冊とも全部ワンコイン500円(税込み)は「若い人に手軽に読んでもらいたい。僕も学生時代に安い文庫にはお世話になったからね」と言う五木氏らしい演出。

【オモシロ度=★★★☆☆】
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# by suginami458 | 2005-10-13 00:02 | 小説・エンターテインメント

映画「カーテンコール」は……編。

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映画「カーテンコール」を試写で観た=写真(C)「カーテンコール」製作委員会。

★ 昭和30年代の下関、映画上映の幕間に歌や物真似を行う素人芸人(藤井隆)がいた。40年後、彼の消息を探る女性フリーライター(伊藤歩)と、芸人の現在が交錯したとき、二つの家族の再生物語を生んだ…。

★ メーンコピーは
「その記憶は、泣きたくなるほど楽しかった。/お父さん、あなたの昭和は幸せでしたか?」。
僕の好きな藤村志保さんが好演。いつもは野際陽子ばりの冷たい役だけど、今回は時代に取り残されたオバサン役。いいねぇ、志保さん。監督は「半落ち」の佐々部清。
驚いたのは、あの井上尭之さんの好演。ザ・スパイダース→井上尭之バンドのベテランミュージシャンが、優しく明るい笑顔を見せる。なんともいえない癒し系の笑顔、ああいう年の取り方をしたい。

★ でも、いま「昭和」のブームなのかな。来月公開予定の「ALWAYS/三丁目の夕日」も昭和30年代が舞台だし。僕は、あの時代が決していい時代だったとは思わないけど。あまり「いい人」の集まりばかりで描かないで欲しい、と思う。

【「カーテンコール」面白度=★★☆☆☆】
途中から話が韓国に飛んで、複雑に……
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# by suginami458 | 2005-10-11 23:06 | 小説・エンターテインメント

「デ・キリコ展」で異次元への旅なのだ編

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部屋に飾るなら、この作家の作品がいいなあ…と思っていた(もちろん、印刷物の話だけど)。

★ やわらかさを感じる色遣いの妙、見事な構図、不思議さの中に奇妙な懐かしさを感じる。デ・キリコの絵画コレクション「巨匠デ・キリコ展」=写真(C)大丸ミュージアム。ずっと見ていても飽きないくらいの圧巻の110点。習作もあって、すばらしいデッサン力なのだなあ、と感心(当たり前だ、イタリアの巨匠だぞ)。

【ジョルジョ・デ・キリコ】イタリアが生んだ20世紀最大の画家(1888~1978)。その不思議な記憶の世界は「形而上絵画」(メタフィジカ)と呼ばれ、シュールレアリストたちに大きな影響を与えた。1920年ごろから作風を一変させて写実絵画に傾斜したが、晩年再び作風を戻し、新形而上絵画(ネオ・メタフィジカ)を確立した。

★ 見ていると、なんとなく不安と孤独を感じてしまうが、しっかりとした線と、不可思議ながら極めて立体的な構成が現実を忘れさせて,僕たちを異次元空間へ誘ってくれる。
写真は「不安を与えるミューズたち」(1974年)で、これらミューズ作品シリーズもいいけど、僕は「ユリシーズの帰還」に見入った。アパートの中の大海、さざなみのなか小舟を漕ぐ女神……文字ではとても表せないから、やっぱり観るしかない。

★ 関連グッズとして、横尾忠則氏のTシャツもオススメ。横尾氏らしくない(?)シンプルなデザインだった。

【芸術の秋だ! 観て良かった度=★★★☆☆】
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# by suginami458 | 2005-10-09 23:02 | 小説・エンターテインメント

東京都庁もピンクに色づく秋なのだ編

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夜の西新宿。見上げると、都庁がピンク色だ=写真。

★ 恒例「乳がん早期発見・検診受診普及啓発キャンペーン」の一環で、夕方6時からライトアップしている(10月10日まで)。実際に見ると、かなり赤に近いピンク色。「きれい」というよりは不気味&違和感の方があるけど。

★ 以前は新聞でコラム風記事にしていたけど、最近はあきたのか、重大ニュースで紙面が埋まっているのか掲載されなくなった。がんばれ、ピンク。新宿には「ピンク」が似合う。

★ ちなみに、都庁のライトアップは高層部分だけのため、下水道局の汚泥消化ガス発電の「バイオマス電力」を使用し、かなり安いという。

秋だから、高層建築も色づくのだ。

【新宿はピンクの街度=★★★☆☆】
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# by suginami458 | 2005-10-07 23:10 | 小説・エンターテインメント

この文庫!/浅田次郎を通勤電車で読んじゃいけない、編

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しまった! 間違えて持ってきてしまった! 『椿山課長の七日間』(朝日文庫)=写真、後方は新潮社「波」10月号で、表紙は浅田氏。

読み落としていた浅田次郎本。きっと泣くだろうな…通勤電車の中で涙ぐむのはイヤだな…と通勤途中には絶対に読むまい、と思っていたけど。

★ 46歳で過労死した椿山課長と、間違えられて殺された心優しきヤクザの武田親分、交通事故死した7歳の雄太少年らが家族らに別れを告げるため、あの世から「現世」に舞い戻った。だが、彼らが見た家族たちとは…。

★ 「家族の絆」は浅田ワールドのキーワード。僕は、その中でも「父親」への慕情が突出していると思う。デビュー作の『地下鉄(メトロ)に乗って』、直木賞作の『鉄道員(ぽっぽや)』、短編『角筈にて』など、父親への愛と感謝を描いたもの。
なぜ、「母親」ではなく、「父親」重点なんだろう。普通、お涙頂戴なら「母親」でしょう。もちろん、『天国までの百マイル』もあるけれど。

★ 泣けた本文から…。
 その晩、ぼく(注=雄太少年)はおじいちゃんがかつぎこまれた病院で、陽ちゃん(注=椿山課長の子。7歳)とさよならをした(中略)。
 おじいちゃんは死んじゃった。まるで連れてってというみたいにぼくの手を握ったけれど、おじいちゃんとぼくは行き先が違います。(中略)陽ちゃんはグズグズです。むりもないけどね。ベンチの上でおしりをずらし、ぼくは陽ちゃんをだきしめた。感情をことばで言いあらわせないとき、人間はこうするしかないんだな(中略)。
 ぼくは陽ちゃんの耳元にささやいた。七年の人生の、思いのたけをこめて。
 「ぼくの分まで生きてね、陽ちゃん」(後略)

★ 「悲しさ・感情をことばで言いあらわせないとき、だきしめるしかできないんだ」は、仏教の同治(どうじ=慈悲の悲にあたる)に通じる表現。本当だよね、悲しいときは一緒に涙するしかできないよね。

……絶対に、浅田氏の術中に嵌まるまいと思っていたけど、ダメでした。読み落としていてよかった。

【泣かせるテクニックに嵌まったけど、まあ、いいか…泣けた度=★★★★☆】
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# by suginami458 | 2005-10-04 21:25 | 小説・エンターテインメント

映画「セブンソード」試写会の帰りにネクタイを発見。編

新宿で「セブンソード」ジャパンプレミア試写会を見た。中国・香港・台湾・韓国の出演者が挨拶していたけど知らない人たちばかりで…。

★ 映画コピーは
「黒澤明監督に捧げるオマージュ/4分間のスタンディング・オベーションでベネチア映画祭絶賛! 『hero』『lovers』に続く〝武侠〟超大作第3弾! さあ、目を開け。これが本物の武侠だ。7人分の英雄伝説、7人分の衝撃」
とあるけど、前作を見てないから、どうも「……」ばかりで。跳び上がったりのワイヤアクションもあきたし。

★ すっかり秋の気配の夜の新宿の帰り道。あっ、またネクタイが落ちてる! 実は以前も(映画の帰り)新宿伊勢丹別館前でネクタイを発見、夜の暗さに紛れて見つけたことがあったのだ(もちろんアルコールが入っていたし)。それが何と有名ブランドもので、さすが伊勢丹だ! なんて思った。

★ でも何でネクタイが落ちているのか? 落とすシチュエーションが分からない。
①歌舞伎町だから、暴力団関係者が誰かの首を絞めようとした。
②酔ったお父さんが、病気のお殿様の真似をして頭にネクタイを巻いたが、女子社員に小突かれ落とした。
③歌舞伎町だから、誰かに追われた人が走りすぎて疲れてはずした。

‥‥さすがに今回のはブランドものではなく、歌舞伎町デザインだったので、踏み付けたけど。

【映画「セブンソード」面白度=★★☆??】
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# by suginami458 | 2005-09-28 20:07 | 小説・エンターテインメント

京都に行ったら、このカフェだ!編

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京都は大手コーヒーFCもどんどん進出してきているけれど、四条河原町など街中だけ。まだまだグッドオールドデイズ的個人営業の喫茶店も健在。そこで、新幹線に乗ってでも行きたい僕的京都喫茶店ベスト5!

第⑤位「イノダコーヒ」=池波正太郎の「京都の朝はイノダから始まる」は有名。正月も元日から営業していて(本店だけ)さすが地元密着型の老舗。コーヒーはミルクと砂糖が初めから入る独特なタイプ(もちろん、別々もOK牧場)。本店は名所となり観光地化しているので、最近は比較的静かな三条店にいっています。

第④位「yamatoya」=京屈指の老舗ジャズ喫茶(夜はバー)。ご主人が近郊の花背から汲んでくる水がおいしく、水割り、コーヒーも美味。お寺の方、作家や音楽関係者、京大生が常連で、西陣出身の都はるみさんや近くに在住の作家・平野啓一郎さんの姿もごくたま~~に。

第③位「岡崎ラ・ヴァチュール(写真)」=リンゴを砂糖で煮詰めたタルト・タタン(ケーキ)がおいしい。松永さん夫妻はフランスで修業され。奥様は世界タルト・タタン協会の名誉会員。先日もフランスに行って来られたとか。手作りのため(当たり前か)一日32ピースしか作れない。飴色にまで煮詰められてもあまり甘くないタタンにはファンが多く、作家の五木寛之さんや元TBSアナの進藤晶子さんも常連。

第②位「高瀬川みゅーず」=京都繁華街のど真ん中にあるのに、とても静かな店。高瀬川に面した窓からの風景とクラシックのBGM、苦め濃厚コーヒーは、これからの秋には似合う(と思う)。僕は、この店で浅田次郎の『地下鉄(メトロ)に乗って』を泣きながら読んだ…関係ないか。

第①位「京大前進々堂」=京大生の溜まり場(当たり前)。コーヒーもパン類も安い。テープルや椅子は同校出身の有名作家の作品。昔の喫茶店の雰囲気が今でも残っており、店主のセンスの良さに脱帽。新幹線に乗って、駅からバス代かけてでも行きたい。

【京都は珈琲が安い度=★★★★☆】
だいたい350円ぐらい。イノダでさえ420円なのだ。東京が高いのか。
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# by suginami458 | 2005-09-23 10:08 | 小説・エンターテインメント

魔界都市・京都を行く③/巨大古墳だ!編

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これを見たときは本当に驚いた。大きさ、規模…まさか京都の太秦の、住宅街のど真ん中に「巨大古墳」があるなんて! 京都恐るべし!

★ この横穴式石室の古墳(元は前方後円墳=石室約18㍍)の名は「蛇塚(へびづか)」=写真。ネーミングも凄い。石室の大きさは、あの奈良の石舞台をはるかにしのぎ、現在残っているのはその一部に過ぎないというから仰天だ。

★ じゃ、この古墳は何のために造られたのか?
京都市の史料プレートには「7世紀初頭、太秦を開拓した渡来系秦一族が造ったもので、その首長を葬った古墳」とあった。
確かに、太秦の近辺には天塚古墳など数個の古墳が点在しているけど。一部には「日本先住民を葬った遺構なのだ」なんて説も(加藤保憲か!)…僕を案内してくれた人もそう言っていた…。ロマンだ。

★ ちなみに、「日本先住民の遺構」は北野天満宮や、奈良の當麻寺の近辺にもあって、「土蜘蛛の墓」なんて書いてあって衝撃を受けたっけ。

でも、「日本先住民」って何? 縄文人? いわゆるサンカのルーツなのか? 勉強が足りません…これから勉強します。

【これには驚いた度=★★★★☆】
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# by suginami458 | 2005-09-22 22:33 | 小説・エンターテインメント

魔界都市・京都を行く②/御所編

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以前から気になっていた。
京都御所の東北角が内側にえぐられていることが=写真左、撮っていたら皇宮警察が近付いてきたけど、僕は怪しいものではありません…。

★ 京都は794年に桓武天皇により造築された都で、魔界(鬼門)封じのために当時の最先端学問である占星術・陰陽道を駆使して造られた呪術都市でもある。その名残が、現在でも京都の随所で見られる。

で、御所の「欠け」は陰陽説では陰・拒否を表す。つまり「欠け」は魔物の侵入を拒否する造形で、「猿が辻」とも呼ばれるという。インド・中国では、猿には魔除けの力があるといわれ(ほら、孫悟空もサル)、今でも御所をはじめ京の鬼門には猿の彫刻が置かれているというから、今度から注意して街を歩いて見てみようっと。

★ 「広隆寺」もなんとなく気になっていた寺。

【広隆寺】603年に建立された京都最古の寺。聖徳太子建立の日本七大寺の一つ。本尊は弥勒菩薩像。3回焼失し、現在の寺は1165年に復興されたもの。京福電鉄の太秦駅の目の前で、この便利さはいい。おまけに、広々とした境内は気持ちが洗われます。ぜひ!

で、この寺のアルカイックスマイルでおなじみの弥勒菩薩(国宝第1号)の美しさと可憐さはさておき、この寺のある「太秦(うずまさ)」一帯が渡来系の「秦氏」一族によって開発されたということに注目。
広隆寺の東側には「木嶋(このしま)神社」があって、別名は「蚕の神社」。蚕→養蚕→機織→ハタオリで、秦一族を祀った神社だが、奇妙な三角鳥居に衝撃を受ける。なぜ、二柱でなく三柱なのか? 自然暦に関係があるというが、とにかく不思議な鳥居でなんとなく頭がクラクラした。

【こんなハイテク現代に陰陽道かよ…の面白度=★★★☆☆】
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# by suginami458 | 2005-09-21 17:09 | 小説・エンターテインメント

魔界都市・京都を行く①/京のヘソ編

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「キタ――――」って電車男のコピーじゃないけど、久々の京都。暑いぞ! 9月なのに30度の真夏日。

★まずは古寺巡礼「六角堂」。
この寺は初代住職が小野妹子といわれる由緒ある寺(正式名=頂法寺)。隣には、生け花の池坊総本部があり(池坊=六角堂池の隣にあるから…に由来)、平安京の中心を表す「へそ石」があるのだ=写真(本当はウソだけど)。
さらに知る人ぞ知る、親鸞聖人の夢告の地。ここから比叡山に通われ、百日目に聖徳太子が夢に出られたという伝承がある。ある意味で真宗発祥の地。
京都の凄さは、こんなウルトラ古寺が街のど真ん中にあるところ。恐るべし。

★知人と待ち合わせに、寺町通の「一保堂茶舖」へ。京都を代表するお茶専門店だ。
茶道のたしなみはないけど、きれいな部屋で京言葉に囲まれていただくお茶は本当においしゅうございます。
さらに、ここの店の感心するところは、スタッフの女の子たちの礼儀正しさと心遣い。10000円札を出しても、お釣の1000円札はちゃんと新札で一方向に揃えて返してくれること。うーん、老舗の教育は違う。こうなると美学。京都恐るべし。

★梶井基次郎の『檸檬』で登場する丸善河原町店が10月で閉店。何があったんだ! 老舗書店に。

【京都恐るべし度=★★★☆☆】
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# by suginami458 | 2005-09-20 18:02 | 小説・エンターテインメント